研究会案内 2008![]()
要旨:
スキャンダルによる失脚の末に1891年に死去した政治家C.S.
パーネルについて、W.B.イェイツは詩や散文において何度も繰り返し言及するこ
ととなる。部分的な出版を経て1934年に現在の形にまとめられた「パーネルの葬
儀」においてイェイツは、アイルランドの歴史と、人類にとって普遍的な神話が交差
する出来事としてのパーネルの死を描いた。J.G.フレイザーの『金枝篇』に代表
される人類学的知見を大幅に取り入れてパーネルの犠牲としての死を意味付けしなが
ら、イェイツは同時代の政治に対する痛烈な批判も行なっている。まずは、この詩の
前半部分と後半部分のバランス、特にそれぞれの主張の微妙な相違点が映し出すもの
に注意を払いながら、イェイツが描こうとした神話的構図と、彼が同時代のアイルラ
ンドの政治に対して抱いていた考えに迫りたいと思う。それから、この詩の射程をよ
り深いものにしているように思われる、イメージそのもの、レトリックそのもの、さ
らには語り手そのもののあり方に対する根源的な問いを捉えたいと思う。連絡先:日本アイルランド協会事務局 (mori-mcelwain@mtg.biglobe.ne.jp)
日時:7月12日(土)14:00〜17:00
場所:法政大学市ヶ谷キャンパス・ボアソナードタワー6階0603教室
報告:木村晶子(中央大学大学院)
「初期中世アイルランドにおける墓地の機能とその発展」要旨:
考古学者、Elizabeth O'Brienによる、多くの研究者によって受容され
ている仮説、「アイルランドでは、800年頃までに異教時代から続いた親族墓
地が放棄され、教会墓地への埋葬が一般化した」ことを念頭に置きつつ、埋葬
地の変化によってもたらされた「墓地」の機能の継続と変化を、他地域(主と
してイギリスとスカンジナヴィア諸国)の状況を考慮しつつ、アイルランドで
の状況を考察する。
今回の発表は、できるだけ状況を把握する、ということを目的とさせて頂きた
く、はっきりとした結論が出るわけではなく、途中経過的発表となる。よって、
今後の研究の方向性を見極めるために、多くの方にご指導を頂く、という
形でさせて頂く予定となる。連絡先:日本アイルランド協会事務局(mori-mcelwain@mtg.biglobe.ne.jp)