研究会案内 2009![]()
日時:2009年10月24日(土)15:00-18:00
場所:立教大学11号館会議室を予定しております。
立教大学のキャンパス案内は以下のURLをご参考ください。
http://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/campus.html
発表:金牡蘭(キム モラン)氏(筑波大学)
『「われわれ」のアイルランド
―日本と植民地朝鮮におけるアイルランド文学の<移動(トレンスレーション)>―』
発表概要:
上野格先生がかつて「日本におけるアイルランド学の歴史」(1975)で指摘したように、「朝鮮植民地統治の最重要参考資料としてのアイルランド」への接近は、当時の日本におけるアイルランドへのまなざしを特徴づけるものであり、その「アイルランド問題を論じながらたえず日本に思いをいたす」ことが、分野を問わず「戦前の論述に共通する姿勢」でありました。このように「アイルランド」を論じながら「われわれ」に思いをいたしたのは、日本の人々だけではありませんでした。「イギリス/アイルランド」関係を「日本/朝鮮」に置き換える作業は、植民地統治の対象である朝鮮人によっても活発に行われていました。朝鮮の人々もまた、日本の人々以上の当事者性をもって、「今、ここ」の問題としてアイルランドを注視したのです。
本発表では、このような時代に、帝国日本と植民地朝鮮の両方において、アイルランド文学(主に、アイルランド演劇)がどのような形で注目され、「われわれ」というナショナル・アイデンティティの構築にどのように関わっていたかを、考察します。アイルランド文学が、「文学外」的な価値を含めて注目された際、実際どのような作品・テクストが翻訳、翻案、研究、上演されたのか、そして、それらは帝国日本と植民地朝鮮においてどのような変容を被り、どのような新しい意味を生産しえたのかに関して、検討していきます。具体的には、逍遥の『霊験』や菊池寛の『暴徒の子』、朝鮮の劇作家柳致真(ユ・チジン)の『土幕』など、アイルランド演劇の翻案作を取り上げる予定です。
発表:後藤浩子氏(法政大学)
「W.ペティとアイルランド:植民と統治性の観点から」
<要旨>
従来、ペティは、歴史学においては、クロムウェル支配下の共和政期に「ダウン・
サーヴェイ」を実施し、その功績によってケリーに土地を得たイングランド人とし
て、また、経済学史においては「政治算術」の創始者として、位置づけられてきた。
これに対して、近年のペティ研究では、ペティの経済思想形成におけるアイルランド
という文脈の重要性が強調されている。つまり,アイルランド地主としての彼の「改
良と経営」を目指す視点の重要性である。この結果、ペティは、「植民事業とは何
か」を経済パラダイムにおいて定義しなおし、経済を基底においた上で政治制度を考
察する政治経済学的視点を確立することができた。このペティの視点こそ、M・フー
コーが「統治性」概念のもとに探究してきた新しい知のあり方であり、これは、その
後18世紀を通してアングロ・アイリッシュ層に共有されていく「統治の知」の原型と
なった。